本学は4月24日、共育共創コモンズにて、三菱鉛筆株式会社リサーチフェローの市川秀寿氏による講演『バズる筆記具 年間1億本以上 JETSTREAM開発の軌跡・現在・そして未来』を開催しました。本講演は、学術研究院環境生命自然科学学域情報セキュリティ工学研究室主催、岡山大学ユネスコチェア・岡山大学病院聴覚支援センター共催、岡山大学DS(データサイエンス)部企画により開催され、大学生、大学院生、職員、一般の方約80人が参加しました。
開会に際し、那須保友学長より「共育共創コモンズでの本講演が、学生、職員、地域の方々にとってまさに共育、共創となることを期待したい」とあいさつがありました。
三菱鉛筆では、現在ボールペンが売り上げのほぼ50%を占め、次いでマーカー、シャープペンシル、鉛筆と続き、他にも化粧等にも及びます。昨今海外の企業や異分野にもタッグを組むことで、文具に留まらない「世界一の表現核心カンパニーになる」をビジョンとして、展開を進めています。
市川氏は講演の中で、世界で年間1億本以上の販売実績をもつJETSTREAMは、当初水性・油性ボールペンの有する課題についてニーズとシーズを探索しながらゲルインクに着手したことを紹介。既に発売されているベンゼン環を用いたインクの特性とその根拠を分析し、それを使用しないインクを開発、更に日本人の筆記にかかる荷重をモニターし、摩擦係数を分析、なめらかな書き味を追求しました。また濃くはっきりした色調、描線乾燥性、逆流防止機構、経時安定性等々を求め、さまざまな検討と実証を行ったことの紹介があり、参加者にとって基礎的な科学知識が日常のモノづくりにどう生かされているかを学ぶ場となりました。ゼロから検証し、開発し、製品化し、メガヒットを飛ばす、その間に受けた内外からの反響も決して温かいものばかりだったわけではなく、120円のボールペンに込められた魂と、そこにかけられた努力の秘話も含めて紹介されました。先行者有意となるための条件や、時代とともに変化していく消費者やのニーズ、社会としての環境対応や教育への貢献をどのように満たしていくかなどのTipsも含まれており、それぞれの参加者の学びにも繋がる貴重な講演となりました。講演後、学生、社会人それぞれの視点から多くの質問が寄せられ、まさに共育の場となり盛況のうちに幕を閉じました。
今後もユネスコチェアでは、世界的なプロダクトやプロジェクトを多くの方に発信する場を設けながら、共創・共育できる各種活動を進めていきます。
※JETSTREAMは三菱鉛筆株式会社の商標登録です。
主催:岡山大学学術研究院 環境生命自然科学学域 情報セキュリティ工学研究室
共催:岡山大学ユネスコチェア・岡山大学病院聴覚支援センター
企画・運営:岡山大学DS部
【本件問い合わせ先】
岡山大学DS部
Mail:dsc◎okayama-u.ac.jp
※@を◎に置き換えています。
岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域 教授
岡山大学DS部顧問 野上保之